東日本大震災から10年

2021年は、東日本大震災発災から10年の節目の年です。

水巻町図書館では、毎年3月に災害・防災をテーマにした展示架を設けています。

今回の震災展示架のテーマは三つです。

 

第一に、東日本大震災とはどのような災厄であったのかを振り返り、復興に向けて歩んできた10年の軌跡を記した本。

展示架写真①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二に、災厄と向き合う人々に、文学という形でよりそった本。

展示架写真②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三に、未来に向けて、持続可能な目標を持って歩を進めるための、震災とSDGsをテーマに据えた本。

展示架写真④

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今年1月芥川賞作家として知られる柳美里さんの小説『JR上野駅公園口』が、アメリカで権威ある文学賞のひとつである全米図書賞を受賞しました。この作品の主人公は、1964年東京オリンピックの年に南相馬から出稼ぎ労働者として上京し、高度経済成長期ののちに、ホームレスとなります。作品には、裕福で街を行きかう人々の言葉と、主人公の喪失感が、交わることのないままふわふわ漂っているような不思議な感覚があります。

柳美里『JR上野駅公園口』(河出書房新社)

柳美里『JR上野駅公園口』(河出書房新社)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、柳美里さんは、南相馬に居を移し、南相馬出身や在住の人ふたりと、自分が対談する形式のラジオ番組「ふたりとひとり」を続けてきました。

居場所を持たない人、大切なものを失ってしまった深い悲しみをたたえた人に寄り添う、それが柳美里さんの創作や活動のテーマであるように思います。

 

柳美里さんは、執筆の傍ら、福島県南相馬市でブックカフェ「フルハウス」を営んでいます。「フルハウス」のホームページの選書サービスに、こんな言葉があります。

 

「わたしからの質問への答えも

答えられずに不意に訪れた沈黙も

わたしは受け取り

見えないあなたを想像して本を選びます。」

 

柳美里さんをはじめ、この春、震災三部作を上梓した真山仁さん、多数の文筆家の方々が、被災した人の気持ちに寄り添い、言葉をつむぎ、未災者(この言葉は震災関係の資料にはたびたび出てきます)である読み手に想像の橋をかけてくださっているようです。

 

(スタッフYN)