3月11日のあの日が、今年も近づいてきました。6年目となる今年も、先日の2月28日には、震度5弱の地震が宮城県・福島県であり、気象庁から東日本大震災の余震がまだ続いていると発表されたことは、皆さんの記憶に新しいと思います。
東日本大震災で被災された方々が震災の傷跡が癒えない中、不安な日々を過ごされていると思うと、心痛な思いでいっぱいになります。
3.11のあの日を風化させないためにも、水巻町図書館では、毎年3月に関連する資料を展示して、広く皆さんに見ていただくととしています。
今日はその中の絵本「ハナミズキのみち( 浅沼 ミキ子/文 黒井 健/絵 金の星社 刊)」をご紹介します。
作者の浅沼ミキ子さんは、陸前高田市にお住まいで
震災時、市役所の臨時職員として、市民の避難誘導に任務されていた25歳になる息子さんを津波によって亡くされました。
息子さんに再会したのは、10日後の遺体安置所でした。浅沼さんは、息子さんを亡くされたことから悲しみにくれる日々を過ごされていましたが、ある時、息子さんの声が聴こえてきたそうです。
「おかあさんの泣き声が聞こえる。もう泣かないで。楽しかったことを思い出してわらっていてね。
ぼくは、ここから見てるから。あかあさん、おねがい。
ぼくが大すきだったのハナミズキの木をたくさんたくさんうえてね。
津波が来たとき、みんながあんぜんなところへにげる目じるしに、ハナミズキのみちをつくってね。(中略)
ぼくは木になったり花になって、みんなをまもっていきたいんだ。」(本文一部抜粋)。
浅沼さんは、この息子さんの思いを、また痛ましいこの出来事を風化させないため、そして母親としての思いを後世に残そうと、イラストレーターの黒井健さんのご協力を得て、2013年5月にこの絵本が金の星社から発刊されました。
親子の愛情の深さと、これから前向きに生きていこうとする浅沼さんの強い決意が感じられるこの絵本は、読む者すべての心に強く響く素晴らしい作品となっています。
是非皆さんも、お子さんとこの絵本を読んでいただき、読後はご家族で命の尊さ、親子の愛情についてお話しいただければと思います。お奨めの絵本です。(館長 古川 弘之)
※ この記事は、家読推進プロジェクト及び、金の星社のご協力のもと、作成いたしました。