Monthly Archiv: 4月, 2020
先の見えない日々が続きます。ウィルスと闘ってくださる医療従事者の方々の安全を祈らずにはいられません。自分たちにできる小さな努力を積んで、図書館がまた平常の開館を迎えられる日が待ち遠しいです。
柳田邦男氏の新刊『人生の1冊の絵本』をご紹介します。

『人生の1冊の絵本』(柳田邦男 著 / 岩波書店)
柳田邦男氏はノンフィクション作家で、「大人の気づき、子どもの心の発達」をキーワードに、絵本の普及活動に尽力しておられます。絵本専門士の旗揚げにも関わられ、精力的な活動を展開しておられます。今回の新刊では、150冊ほどの絵本が紹介されています。その中から、印象に残った1冊をご紹介します。

『おじいちゃんのトラのいるもりへ』
「おじいちゃんのトラのいるもりへ」は、福音館書店の月刊雑誌「こどものとも」の2011年9月号として刊行されました。作者は、書家の乾千絵(いぬいちえ)さんです。ちなみに、乾さんは、右半身に障がいがあり、左手で大きな筆を持って書を制作されている方です。やはり同じ福音館書店から発行されている絵本『月人石(つきひといし)』は、乾さんの書による「風」「馬」「人」などの力強い文字をモチーフに、谷川俊太郎さんの詩と川島敏生さんの写真で構成されています。とても印象的な絵本ですので、機会があればぜひご覧ください。
表紙のトラは、力強くまっすぐにこちらを見据えています。物語の主人公は、サカという名の少年。サカは、村いちばんの太鼓の名人であるおじいちゃんが大好きでした。ところが、ある日急におじいちゃんが亡くなってしまいます。寂しさのあまり、太鼓に布をかぶせてしまうサカ。悲しみにくれるサカのもとへ、トラが現れます。おじいちゃんに会わせてくれるというトラの背に乗り、サカは森の奥へ。サカはそこで、おじいちゃんの魂を宿したトラに会うのです。
この絵本についての柳田氏の文章を紹介します。
「絵は、あべ弘士さんだ。トラは大きなたくましい体躯だが、人の魂を宿したやさしい眼差しをしている。サカを乗せたトラが走る密林の熱帯雨林らしい原色の彩りの情景。特にサカがおじいちゃんのトラに会って村に戻ったときの朝焼けの淡いピンクの空や、そのピンクを映す淡い紫色の森を遠くに見つめるサカの澄んだ眼差しは、亡きおじいちゃんの魂を受け継いで明日を生きようとする少年のすがすがしさを表現していて感動的だ。」
大切な人を失った子どもの心をケアするグリーフワークをテーマにした絵本です。そして、絵と文章の調和がとてもすばらしく、幅広い年齢の子どもの心に届けたい絵本でもあると思います。
文学、音楽、絵画を当たり前に味わっていた日々がどんなに貴重だったかをかみしめています。
一日も早く、人とモノがつながれる日が来ますように。 (スタッフYN)
3月に新しく入ってきた本をいくつか紹介します。(スタッフN)
『野菜はくすり』 村田裕子/監修 オレンジページ

食事から体の免疫力をあげてみませんか。管理栄養士の著者が監修するこの本では、身近な野菜の栄養素や効果・効能だけでなく、様々な情報がイラストとともにわかりやすく紹介されています。野菜は色別に分類してあり、食材の色の数で日々の献立のバランスを考えやすいように工夫されています。後半には、パパッと作れる副菜のレシピも掲載されています。心身ともにストレスのたまる時期ではありますが、食卓にプラス一品の彩りを加えておいしくリフレッシュしてみてはどうでしょう。
『今こそ持ちたい手作りのエコバッグ』 レディブティックシリーズ

2020年7月1日からレジ袋が有料化になることはご存知でしょうか。店舗によっては既に有料化が進んで、エコバッグの持参が推奨されているところもあります。エコバッグって、買い物する量によっては到底ひとつだけでは足りなかったり、カバンを変えてしまって自宅に忘れてしまったり…と以外に枚数が必要だったりしますよね。でもいくつも買っておくのもなんだか勿体ないような気がして、ついまあいいか…とレジで袋をもらうこともしばしば。けれど世の中はプラスチック袋削減の流れです。家で過ごす時間の多い今、手作りエコバッグはどうでしょう。自分で作ると愛着がわいて忘れることもすくなくなる…かもしれません。本書には様々な形のバッグが掲載されており、便利なレジかごバッグも載っていますよ。
◇子どもと過ごすおうち時間に◇
『10歳までに身につけたい子どもが一生困らない片づけ・そうじのコツ』 山口由紀子/著 青春出版社

自分のモノを自分で管理できる、モノの取捨選択ができる、身の回りを清潔にしておける…子どもたちに伝えておきたい、暮らしの基本です。断捨離やミニマリストなど、片づけに関する本がたくさん出版されていますが、子どもと実践するそうじ・片づけの本はまだまだ珍しいかもしれません。子どもと暮らしていると、あふれかえるおもちゃや洋服…。その片づけや掃除はなやみのタネという家庭も多いのではないでしょうか。この本は、漫画やクイズ形式になっている部分が多いので、親子でゲームのように楽しみながら片づけについて考えることができます。
『レゴレシピ いろんなペット』 ケビン・ホール ブレンダ・ツァン/著 玄光社

説明不用のあの有名なブロックの本です。精巧な生き物の作り方が30種類掲載されています。各ページにそれぞれの生きもののちょっとした豆知識ものっているので、読むだけでも楽しめますよ。
◇福岡県にまつわる本◇
『福岡のトリセツ』 昭文社

知っているようで知らない福岡県。この本は、地図から、大地・交通・歴史・産業と文化の項目に分けて福岡県を解説しています。今までそれほど興味をもって調べた事はなかったのですが、さすが地元について書かれているだけあって、読んでみると知っているワードも多く、断片的な知識の答え合わせをしているようでサクサク読み進めてしまえる本です。フルカラーの写真が掲載されているので、見ごたえもばっちりです。
『めんたいこどりーむ』 はしもとえつよ/作 講談社

北九州市出身の作者による、めんたいこが主人公の絵本です。文章が福岡弁なので思わず声に出してしまいたくなります。子どもと一緒に読むと盛り上がること間違いなしの一冊です。
1月半ば、公益社団法人若松法人会様から「水巻町図書館に児童書の寄贈を行いたい」という申し出がありました。
図書館としましても、貸出回数の多い児童書は傷むことが多く、たくさんの子供たちに良質の図書を提供するため買い替える必要があり、大変ありがたい申し出としてお受けしました。
申し出をいただいた後、寄贈いただく書籍については、遠賀町にある有限会社今橋書店さんを通じて3月末までに納入いただきました。
納入後、新型コロナウイルス対策に伴う休館中でもあり、スタッフが手分けして登録と装備を行い、皆さんに貸出が行える状態を整えました。
今月は通常開館をして、寄贈いただいた児童書をサービスの再開に合わせて皆様にお披露目する予定でしたが、多数の来館者がある施設は万一の感染を予防する必要があり、緊急事態宣言の趣旨を踏まえて休館を継続することとなり残念に想います。
約100点の児童書を寄贈いただいています。同会は、従前より地元地域での社会貢献事業に取り組んでおられ、当館へは2014(H26)年には今回同様に児童書を、2018年(H30)に一般書を寄贈いただいています。今回は、昔から親しまれている『しろくまちゃんのほっとけーき』(わかやまけん 絵/ 森比呂志・わだよしおみ 著/ こぐま社)や、『怪盗クイーン、かぐや姫は夢を見る』(はやみねかおる 作/ K2商会 絵/ 講談社青い鳥文庫)、「スポーツのおはなし」シリーズ(講談社)などを寄贈いただきました。開館してからにはなってしまいますが、ぜひ一度手に取ってご覧いただければ幸いです。

長く読み継がれている資料の買替えもできる限り行ってはいますが、どうしても新刊本の購入を優先してしまう中、多くの児童書の買替えの機会をいただくことになり、職員・スタッフ一同、若松法人会様に深く感謝いたします。ありがとうございました。(職員K)